· 

チェロの弓の扱い方をご紹介します

弓の取り扱いは、繰り返して習慣となれば自然と行えることばかりですが、習い始めは何をどの程度行えば良いか分からないことも多いかと思います。

そこで今回は、チェロの弓にフォーカスして、普段のお手入れやお稽古前、お稽古後に気をつけたいことをご紹介したいと思います♪

普段は特別なことをする必要はありません。
チェロと一緒にケースに入れて置いておく方がほとんどだと思いますので、一日の中で気温や湿度の変化が少ない場所に置いておくようにします。

あまりに長い期間弓を放置しておくと、弓の毛が虫食いの被害に遭うことも…!(私は見たことがありませんが…)
レッスンをお休みしていてあまり頻繁には弾かないという方も楽器をしまいっぱなしにせず、できれば一週間に一度、一月に一度はチェロケースを開けて中の様子を確認すると良いですね。


さあ、お稽古です!
弓を使う時は、まず弓の毛を張ります。
弓の毛は「弓毛」「馬毛」とも呼びます。
馬の毛部分をピンと張ってはじめてチェロが鳴らせる状態になります。

スクリューを矢印の向きに回すと弓を張る状態になります。

張りすぎると弓の木がまっすぐになりますが、これは危険信号!
スティック(棹)の部分に大きな負担がかかり、最悪の場合は弓が折れてしまう原因となります。

弓の張り具合は、あくまでもスティックが弓形にしなっている形を保ちつつ、指で軽く弓の毛に触れると弾力を感じるくらいが良いです。

チェロに限らずヴァイオリン族の弓には馬の毛が使用されており、弦楽器工房で職人さんに張っていただいたばかりの時は私たちの髪の毛のようにキューティクルがありツルツルしています。

そのまま弓の毛を弦に当てて弾いても、音が出ません。
そこで必要となるグッズが「松脂」です。


松脂は、弓の毛に当てて毛と同じ方向に動かして、元から先にかけて塗っていきます。
弓の毛についた松脂の粒子を弦に引っ掛けることでチェロのあの素敵な音色が生まれるため、松脂は塗りすぎも塗らなさすぎも困るのですが、どのくらいの量を塗れば良いかは弓の毛の状態にもよるので一概に「これくらいが一番」とお伝えすることはできません。

弓の毛を張り替えたばかりの時は、松脂が馴染むまでの間普段より多めに塗っておくと良いでしょう。
塗る頻度は、私の場合は2〜3日に一回くらいです。

お稽古が終わったら、必ずすることがあります。
  • 弓の毛を緩める
  • チェロや弓についた松脂を拭き取る

弓の毛を緩める時は、矢印の方向にスクリューを回します。
あまりスクリューを回しすぎてしまうとスクリューが取れて弓の毛が外れてしまうので、弓の毛がスティックにつくかつかないかくらいまでを目安に緩めると良いです。

弓の毛を張りっぱなしで放置しておくと、何が起きるのでしょうか?

まず、弓を張るという事は少なからずスティックに負担をかけていますので弾かない時には弓の毛を緩めて休ませる必要があります。

また、冬は特に弓の毛が乾燥により収縮し、知らず知らずの内にスティックに負担をかけます。
最終的にはスティックが折れてしまう原因になりますのでとても危険です。
お稽古が終わって楽器をしまう時は必ず弓の毛を緩めましょう。

弓の毛についた松脂は拭き取ろうとすると弓の毛を傷めるので、手や布で触らないようにします。
松脂を拭き取るのはスティック部分だけで大丈夫です。

また、チェロの本体にも松脂の粉が飛んでいます。
お稽古の後は専用の布で拭き取る習慣をつけると、楽器表面のニスに松脂が溜まることを防げて綺麗な状態を保つことができます。

チェロ本体も弓も、直射日光や海風、火気、高音多湿、乾燥しすぎは大の天敵です。

真夏に限らず、例えば車内に楽器を置き忘れたりするだけで楽器にダメージが加わります。
人が快適に過ごすことが難しい環境は、チェロにとっても同様と言えます。

チェロクラスでは、初めてのお稽古は「楽器を大切に扱うこと」から始まります。
大切な楽器が長く良い音色で鳴ってくれるように、お稽古前後のお手入れや丁寧な取り扱いを習慣にしたいですね♪